習錬館として道場が始まってから
10ヶ月あまりが経った。その間に
見学、体験に来た人が本格的に
やってもいないのに合気道は緩い運動と
結論づけてしまう(様に見える)例が多いのが気になる。
なぜなら私の運動歴で言えば、合気道はなかなか
きついスポーツの範疇に入るのだ。

学生の頃、私はボクシングジムに通って
かなり一生懸命練習した。
スキーで足首両骨骨折して足が180°反対を
向く事故があり社会人になることもあり
私のボクシングキャリアは終わった。
トレーナーに「お前、そろそろ試合に
出るか?」って言われてたんだけどなー。

ご存知の様にボクシングはスポーツの中でも
かなり激しいものに入る。
ジムでは3分と1分ごとに鐘が鳴って
それに従って1分の休憩を挟みながら3分をひとつの
区切りとして運動する。
たとえばサンドバッグを打っているときは
最後の30秒になると必ずラッシュをかけて
息の限界まで打ちまくる。縄とびも同じく3分の
最後に全力で縄を回す。
つまり毎回インターバルトレーニングを
している様な練習形態がボクシングの練習だ。
私は毎回1時間半くらいで練習切り上げていた。

ジムでの練習以外でもロードワークで走りまわったし
私はこの頃の運動のおかげでスポーツ心臓になっていて
レントゲンを撮ると心臓肥大を疑われ、指の腱の手術を
したときはセンサーを付けると脈拍が遅いので驚かれた。

社会人になってからはジムでの水泳に凝ったことがあり
主に長距離をプールで泳いだ。ターン、ターンを繰り返し
ながらゆっくりと1時間くらい泳ぐのだ。

まあ、だからスポーツに関しては、そんなになまけものと
言う分類には入らない人間だと思う。
その私が合気道はけっこうきついと思うのだ。

そのきつさは先ず投げられるということがある。
そのことに常に対処し受身を取る準備を続ける
ことは精神と体にかなりの疲労を生む。

もちろんこの疲労は取り(技をかける方)の
受け(技を受ける方)にたいする負荷の
かけ方でまったく違ってくるし
実力が上がってくれば受けは省エネで
できる様にはなるのだが
一般に取りは受けの実力に合わせた負荷を
かけるから本当に楽になることはない。

普段の稽古ではある程度というか相当程度の
マージンを持って技をかけるから
(そうでないと怪我ばっかするだろう)
傍からみると楽にやっている様に
見えるけれど、実は案外きつい。

自由技と呼ばれる、取り(技をかける方)が
受け(技をかけられる方)に任意の技を連続して
かける稽古はかなりきつい。2分もやれば、はーはー
ぜいぜいという状態で、4分もはなかなかできない。
これも取りの受けに対する負荷のかけかた次第
できつさはまったく変わってくる。野球のノックに
似ていると言えばわかる人もいるかもしれない。
体験に来る人にはきついことはやらせられない。
なぜなら体ができていないのに
ちょっと調子に乗って合気道の真似事をさせると
必ず怪我をしてしまう。怪我と言っても
捻挫とか打撲とかそういうのではない。
そこまでの負荷はもちろんかけない。
なるのは腰痛、関節痛。
最初からちょっとがんばると、イテテテと
なって必ず稽古できなくなる。

だから当道場では体験者、初心者には、本当に慎重に
稽古をさせる。

当道場で体験して、ちょっと稽古を見学して
合気道って老人のやるだるーいスポーツだと結論つけない様に
お願いしたい。

習錬館道場稽古風景